実践報告&現場の声

(初級)『できる日本語 初級 本冊』 11課の作文活動から

 浅野涼子(トルコ

トルコの私立大学トブ経済技術大学の必修選択科目第二外国語の日本語で『できる日本語 初級 本冊』を使用しています。
特殊なカリキュラムを組んでいる大学なので説明しづらいのですが、卒業までに第二外国語を4 学期(約240時間。内容はCEFR A1レベル程度)履修することになっています。日本語は4 学期で『できる日本語 初級 本冊』が終わるようにカリキュラムを設定しました。漢字は指導していません。

コロナで全面オンライン授業になったのですが、家族に聞かれるのが恥ずかしいのか、授業で話すのを嫌がる学生が増えました。それで無理に話させる代わりにGoogleスライドを使って作文活動をするようにしたら、授業に広がりが出るようになりました。今日はその中から、先日った作文活動をご紹介したいと思います。

11 2 の「やってみよう」(195ページ)の年表の作業をやった後、いままでのわたしをテーマに作文を書くという活動をしたところ、2 人の学生がなかなか良いものを書いたので、ぜひ先生にも読んでいた
だきたいと思いました。2 人の許可は取ってあります。

2 人は現在3 学期目で、学習時間数は約180時間です。

 

1人はH.O.さんです。

最後の段落がなかなかおもしろいなと感じました。H.O.さんはいわゆる優等生タイプで、テストも90点以上しか取ったことがなく、自分の感情を出すタイプではないのですが、11課では、作文を通じて勉強だけではないさまざまな面を垣間見せてくれました。また、11課で初めて笑ってくれました。

もう1人はH.G.さんです。

H.G.さんは、後日、11課の話読聞書(202ページ)を読んだ後に「今の生活」をテーマに作文を書くという活動をしたところ、このような作文を書いてくれました。
最後の段落は思わずうなってしまいました。

H.G.さんはコツコツと勉強するタイプなのではあるものの、それがなかなか成績に反映せず悲しい思いをしていたのですが、この1か月間で突然ぐんと伸びたのを感じました。特に作文力が上がったと思います。データを取って調べたわけではないのですが、H.G.さんのようにコツコツと勉強するものの報われない学生は、あきらめないで続けていると10課か11課のあたりで開花するように感じています。

追加資料:

3月12日に行われた「中東・北アフリカ日本語教育シンポジウム」で、浅野さんは発表をなさいました。そこでは、なぜこの作文が生まれたのかについて、国・大学の授業から始まって、詳しくお話しくださいました。ここに、パワポ資料と動画を紹介してくださいましたので、お知らせします。


+話したがらない学習者の心が開いたオンライン作文_2022−03−12.pdf
https://drive.google.com/file/d/1e69QlcCFMIvEm3XPLm9bm3N8maxq4Zcp/view?usp=sharing

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