実践報告&現場の声

(中級)世代を超えた日本人との交流授業で、生き生き授業をめざす!

『できる日本語』では、クラスを担当する教師の間で、「この課では、どんな【できる!】にするのが、このクラスにとって一番いいだろうか」と対話をしながら進めていきます。【できる!】は、その課のゴールなのでとても重要です。

『できる日本語 中級』第7課「世代を超えた交流」の【できる!】は、次のとおりです。

ボランティアやサークル活動などいろいろな人と交流できる活動に参加しましょう。
世代の違う人と交流して感じたことや考えたことを周りの人に伝えましょう。

 

1.どんなボランティアや活動があるか調べましょう。
2.実際に参加してみましょう。
3.参加して感じたこと、考えたことを発表しましょう。

 

 

毎回、さまざまな形態・内容で【できる!】を行っていますが、例えば以下のようなことが挙げられます。

・調べてきたことを教室の中でクラスメイトに対して発表する。
・休みの日にグループでボランティアサークルに出かけ、参加する。
・近所の方に教室に来ていただいて、日本のお宅を訪問するときのマナーについて学び、後日ホームステイやホームビジットに参加する。
・地域のボランティア活動やサークル活動を調べて、興味を持ったものに参加する。
・交流会の方を教室に招いて世代の違う人と交流する。そのときに感じたことを考えたことを発表する。

 

これまでも何度か『できる日本語中級』【できる!】の実践例についてお伝えしてきましたが、今回は、6月9日に実施された授業をご紹介したいと思います(M7クラス、担当:林英子さん)。もう十年来いろいろな形で交流のある「なでしこ会」に加えて、新たに立ち上がったグループ「こんにちわカフェの会」の方々も初参加。留学生達は、楽しく有意義な時間を過ごすことができました。

日本語学校の授業に初めて参加した「こんにちわカフェの会」の感想をお聞きしたところ、次のような言葉が返ってきました。

日本語学校で大勢の留学生の方々とお話ができ、とても楽しかったです。知らないことがいっぱいありましたし、いろいろな学びがありました。これから私達がやろうとしている「地域に暮らす外国人との触れ合い活動」のヒントが得られました。これからもぜひいろんな形で交流させてください。

 

こうして日本語学校で学ぶ学習者にとっても、地域社会に暮らす日本人にとっても新たな気づきがあり、学び合えるのがビジターセッションの魅力と言えます。

※「こんにちわカフェの会」は、中野生涯大学で学んだ同期(2015年12月卒業)の方々が、国際交流を軸とした自主的な活動をしたいと、立ち上げたばかりのグループです。

では、当日の活動について少しご紹介しましょう。まずは、教師からこんな内容のシートを配られました。

◆     ◇    ◆

1.世代の違う人と交流しよう!
今日は「なでしこ会」「こんにちはカフェの会」の皆さんがM7クラスに
来てくださいます。たくさん話しましょう。
考えよう!
☆お年寄りと話すとき、どんなことに気をつけたらいいでしょうか。
最初のあいさつ、終わりのあいさつは?
話し方は?
例えば、プライベートなことを聞きたいときは、まず何と言ったらいいでしょうか。

☆どんな順序で話しますか。
①学生から自己紹介
②「なでしこ会」「こんにちわカフェの会」の方の自己紹介
(お名前がわかったら、お名前でお呼びしましょう)
③「なでしこ会」「こんにちわカフェの会」の方からの質問に答える
④学生からインタビューする
聞きたいことを考えよう!

2.世代の違う人と交流して、感じたことや考えたことを話そう!

明日、「振り返り」をします。今日、感じたことや考えたことをメモしておきましょう。
皆さんもぜひ日本語学校の門を叩いてみてください。多くの学習者は、「世代を超えた交流」を体験したい、さらに継続したお付き合いがしたいと願っているのです。

ビジターセッションのあと、留学生はお会いした方々との対話を思い出しながら、丁寧にお手紙を書きあげました(これは、『できる日本語中級』8課「気持ちを伝える」の【できる!】につなげることもできます)。そして、5日後に行われた「第1回こんにちわカフェ」にも参加し、「つながり」がさらに深まっていきました。
この新しい「出会い」「つながり」をいつまでも大切にしていきたいものです。

「こんにちわカフェの会」の方々との顔合わせ会

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