実践報告&現場の声

(現場の声-20)『できる日本語』がつなげてくれた「学びの共同体」

甲南大学 森川結花

ECC国際外語専門学校 澤田竜人

 8/26(土)に甲南大学(関西では有名な兵庫県にあるきれいな大学です)とECCで「『できる日本語』の実践を一緒に考えよう」をコンセプトに合同ワークショップを開催しました。このワークショップは嶋田先生が、私たちをつないでくださったところから始まりました。

 最初に二人で少しお話しただけですぐに意気投合し「ワークショップをしよう」という話になり、その後は「どうすれば参加してくれる皆にとって学びになるか」を念頭に、プログラムを作り、資料を作成し、当日の段取りを考え・・・と、ワークショップ開催初心者の2人でどうにか準備を進めていきました。

 ということで、準備は着々と進んだのですが・・・実は、このワークショップの開催を決めたときから、「本当に実のあるワークショップになるだろうか」と密かに不安に感じていました。なぜなら、甲南大学は交換留学生、ECCは(日本語学校なので)いわゆる留学生を対象としており、当然ながら学生の学習ニーズも学習に対するモチベーションも、学習期間も何から何まで異なっているからです。そういう意味で私たちをつなぐ唯一の共通項は「『できる日本語』を使っている」というその1点だけでした。ただそれだけの共通項で本当に学び合うことができるのか・・・。

 

 しかし、ワークショップが始まる前の時点で、そんなことは杞憂であったことを知りました。皆さん、ワークショップが始まる前から自己紹介しながら、『できる日本語』や日本語教育のことを話し始めていたのです。

 ワークショップは、最初に私から少しだけ『できる日本語』のことを話した後は、お互いの学校の取り組みとその中で感じている困難や問題点を紹介し合ったり、『できる日本語』を実践する中で疑問に感じていることを話し合ったり、という流れで進んだのですが、皆さん、まるで以前からの知り合いのように楽しく、熱心に取り組んでくださっていました。そして、最後にはグループごとに教案を作る、なんてことまでできました!

 なぜ、『できる日本語』しか共通項がない人たちが集まって、こんな実のあるワークショップができたのか。それはきっと『できる日本語』での学びを通して、人や社会とのつながりを作っていくことは、どのような属性の学生さんにとっても、嬉しくかつ有益なことであり、そして、その『できる日本語』を使って授業を実践するということは、教師にとっても楽しいものだからではないかと思います。

 また一つ『できる日本語』が作ってくれた「学びの共同体」。

 私たちはこれを一回で終わらせるのではなく、ここからもっと輪を広げていきたい・・・という密かな野望を抱いています。(ECC国際外語専門学校・澤田竜人)


 私は、自分が『できる日本語』を使うクラスの担当になるたびに、自分の心をリセットして、教科書のコンセプトと手順を再確認しなくては!と思っています。何度使っても、使うたびに新しい気づきがありますよね。今回の研修では、「日本語教育の参照枠」から徹底的に原点に立ち返りました。なぜ、これが今、求められているのか。どうしてこれを学生たちと一緒に学ぶのか。それが自分なりに納得できて初めて学生たちと向き合える気がします。甲南大学Year-in-Japanプログラムの私たちは9月の新年度を迎える前のタイミングでこの研修会に参加させていただきました。ECCの先生方、甲南大学のみんな、ありがとうございます。横の連携があるのって、心強いですよね。関西で、このつながりをじわじわ~~っと広げていきましょう! (甲南大学・森川結花)

関連記事