実践報告&現場の声

(現場の声-19)外国人学校で『できる日本語』

ブラジル人学校で教える専任講師(浜松)

みなさん、突然ですが、クイズです。

これは、生徒が『できる日本語』の副教材、『たのしい読みもの55』を読んだ後に 考えたクイズです。

みなさんは答えが分かりましたか? 他にも・・・

こんなに素晴らしい作品が完成するまで私は何をしていたかというと、他の生徒たちに授業をしていました!

私が働いている学校は、レベルの違う生徒が同じ教室で勉強しています。(週4日、1日90分のクラス、宿題などはありません。)
どのくらいレベルが違うかというと・・・
N1レベルから平仮名と片仮名が書けるようになったレベルまで、です。
(年によって変わりますが・・・)
私はなるべくレベルが同じ生徒を集め、授業をするグループと復習や漢字を勉強するグループに分けて日本語を教えています。

『できる日本語』を使うまでは本当に大変でした。
授業の準備は大変、授業中は授業を受けていない生徒が眠そう、あ、あの子は質問 があるって顔してる・・・でも今私はこっちで導入中!ちょっと待っててほしい!
思うようにいかない!
私も生徒も辛い!

どうしたらいいんだろう・・・悩んでいたときに嶋田先生の『できる日本語』についての講座を見つけました。
実は教室に『できる日本語』があったのですが、私は今まで他の教科書を使っていたので、『できる日本語』を数ページ見て、
何これ!こんなにイラストばっかりで本当にできるようになるの!?語彙のチェックはしないの!?と本棚に入れっぱなしにしていました。(本当にもったいない!)

講座に参加した私は、びっくりしました。
私がただのイラストだと思っていたものは、ただのイラストではなかったんです!イラスト1枚1枚に意味があったんです!(そんなの知ってるよ。と思われた方、すみません。でも、本当にびっくりしたんです。)
その後も何度か講座に参加した私は、『できる日本語』を使って授業をしてみることにしました。

すると、イラストを見ただけで生徒からたくさん答えが出てくる!
この答えというのは、教科書の答えではなく、生徒自身の答え(応え)です。
生徒が今何を考えているのかが鮮明になりました。
導入を考える負担が減り、授業では、練習や応用の時間をたくさんとることができるようになりました。
時々、生徒の考えていることが凄すぎて、ついていけなくなることもあります。笑

『できる日本語』第14課にある、シートベルトをしなければなりません。のイラストを見て、ある男子生徒が、「シートベルトをしませんか?じゃぁ…くらえー!」と思いっきりハンドルを切るジェスチャーをしました。
私を含め、教室にいた全員が驚いてしまいました。どうしてそんなことを言ったのかと聞くと、その子は、「シートベルトをしません。あぶないですから、私が教えます。びっくりです。(どっきり、と言いたかったのでしょう。)」と言いました。
彼の言いたいことが分かった瞬間、みんな笑いが止まりませんでした。

生徒が楽しそうに授業を受けている!私も一緒に楽しんでいる!楽しい! それからは、『できる日本語』に完全移行し、授業を進めていきました。

授業を受けていない生徒たちはというと・・・

不思議なことに、授業中、他のグループの生徒からの質問が減りました。
分からないところはスマホで調べたり、同じグループの友達に聞いてみる、それでも分からなかったら、レベルの高いグループに聞いてみる。それでも分からなかったら私に質問。という流れになっていました。
私以外の人に質問してはいけない、というルールはなかったのですが、自然と授業中は他のグループは話してはいけない!静かにしないといけない!という雰囲気に なってしまっていたことに気がつきました。
『できる日本語』は、授業だけでなく、教室の雰囲気まで変えてくれたんです。

私も生徒も辛かったはずの教室が、楽しい場所へと変わりました。
もっと早く『できる日本語』に移行していれば、と後悔しています。

最近では、授業を受けていない生徒たちに、副教材の『たのしい読みもの55』を使ったりしています。
そして、1番最初に紹介した作品が生まれました。
作品が完成したら自然とグループ内で発表し合い、授業が終わると、他のグループの生徒たちが彼らの作品を見て、楽しそうに話しています。

『できる日本語』は教師も生徒も、みんなで楽しみながら日本語が学べる、そんな教科書だと思っています。
これからも『できる日本語』と一緒に生徒も私も成長していきます!

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