中級クラスの実践紹介(ハイフレックス):
『できる日本語中級』6課「地図を広げる」で、ポスター発表を!
4月27日に、以下のような記事を書きました。
「俳句づくり」に魅せられたロシア出身の留学生~季語も、漢字も“友達”!~
その記事では、ロシア出身のエフゲニーさんが、ポスター発表「ふるさと紹介」の写真に、自分の作った俳句を記していたことを紹介しました。
白い音 無限の静止 銀世界
ゴールデンウィーク明けにイーストウエスト日本語学校に出かけて行った私は、エフゲニーさんのクラスの「ふるさと紹介」という冊子を受け取りました。そこには、エフゲニーさんの「ノリリスクの紹介」のための文章があり、それを読んだ私は、さらに彼の俳句への理解が深まりました。エフゲニーさんの許可を得て、ここに紹介することにします。
【エフゲニーさん】
ここで、『できる日本語中級』6課「地図を広げる」の実践を紹介したいと思います。
この課の行動目標は、以下のとおりです。
ふるさとや住んだことがある場所の地理や気候に合わせた生活を紹介して、お互いの理解を深めることができる。
この目標に向けて、5つのタスク(タスクの種類は4つ)を学んでいきます。
1【見つけた!】
説明を読んで、日本の地理や街の様子、気候について知ることができる。
2【耳でキャッチ】
説明を聞いて、気候に合わせた建物の特徴を知ることができる。
3【こんなときどうする?】
気候が合わなくて体調を崩した友達の話を聴いて、アドバイスすることができる。
4【見つけた!】
説明を読んで、町の特徴や歴史などについて知ることができる。
5【伝えてみよう】
国・ふるさとの地形や気候を利用した名物や風物詩を紹介することができる。
エフゲニーさんが在籍するM9クラスでは、この課の【できる!】として、ポスター発表を
しました。クラスの人数は13名ですが、この日は11名の出席者、そこで、次のような形
で行いました。
・1ラウンドに3名ずつ発表者を立て、第4ラウンドまで実施。
(第4ラウンドは2名)
・聞き手は、各ラウンドにおいて「好きな発表者」2人の発表を聞く。
・発表終了後は、聞き手が自由に質問をする。
コロナ禍であるため、13人全員が来日できているわけではなく、ハイフレックスでの授業
となっています。
母国からオンライン参加の学生 4人
教室での対面授業の学生 9人
ZOOM参加の4人は、同じ空間にいない寂しさはあるものの、教室での発表を真剣にメモ
を取りながら聴き、発表が終わると次々に質問をしていきました。特に、エフゲニーさんの
ノリリスクの紹介に関しては、驚きの声が上がっていたそうです。
・1年に9か月間は太陽がない!?
・永久凍土は、一年中0度以下!?
・島のように雪の海に囲まれている!?
M9クラスの担任である小笠原さんに、メッセージをいただきましたので、紹介したいと思
います。4月にスタートした新クラスは、ゴールデンウィークを挟み、まだ数週間しか過ご
していません。でも、学生さん達も先生方も、楽しい対話がどんどん積み重なっています。
学習者同士、教師と学習者、そして教師同士で、対話が広がっていくのが『できる日本語』
の大きな特徴です。
♪ ♪ ♪
【小笠原 幸子さん】
M9クラスは、中級第6課のふるさと紹介から始まりました。クラスの半数近くが初対面と
いうこともあり、互いのことを知るいい機会になったのではないかと思います。各タスクの
中でもテーマに沿ってふるさとの話をしてもらいますが、同じ国の人でも知らないことも
あり、みなさん熱心にクラスメートの話を聞いていました。
発表のときもそれは同じで、エフゲニーさんの「一年のうち9か月は太陽がなくて暗い」と
いう発言にみなさん目を丸くしていたのが印象的でした。私自身もみなさんの発表からた
くさんの発見があり、いつかみなさんのふるさとに行ってみたいと思いました。
発表ももちろんですが、それまでの過程も学びの宝庫だと思います。「天津には何もないか
ら…」という学生に「天津甘栗があるでしょ?」と言ったら、「それは日本人にだけ有名な
んです」と言われ、そうなんだ、と思ったら、その話が発表原稿の中に織り込まれていたり、
納得するまで何度も何度も書き直して完成させた学生もいました。
また、教師同士も日々の活動内容を引き継ぐ中で「今日は〇〇さんのふるさとについてこん
な話を聞いてびっくりした」という感動の共有もありました。発表の後、みなさんに感想を
聞いたら「楽しかった」とまだ聞き足りない様子でした。そこで、今回の発表の作文とポス
ター、PPTを冊子にして配布しました。
♪ ♪ ♪
では、最後に、小笠原さんのお話に出てきた「天津の紹介」を書いた張ルルさんの作文を紹
介したいと思います。
【張ルルさん】