今日、石川県にある「専門学校ファースト学園金沢校」にお勤めの白矢さんから、中級5課「緊急事態」の実践報告が届きました。報告だけではなく、学生さん達の写真と、皆さんの作文も一緒に送ってくださいました。ぜひぜひ作文をお読みください。能登半島地震を経験した留学生の方々が、どんな思いで過ごしていたのか、どんなことを考えていたのかがよく見えてきます。
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できる日本語中級 実践報告
専門学校ファースト学園金沢校
日本語教師 白矢久美子
テーマ: 中級5課 緊急事態 「能登半島地震を振り返る」
対象: 中級クラス
国籍: スリランカ、バングラデシュ、ネパール、ミャンマー
活動の狙い:
当時の状況と気持ちを共有することで、同じ地震を体験した人同士でも、ちがうこと、共感できることがあることを知り、能登半島地震を振り返る。
授業時間: 45分×4コマ
流れ: 5課⑤伝えてみようの「やってみよう」からつなげて、できる活動として実施
① 前作業(口頭で共有 小グループ → 全体)
まず、2,3人のグループになって、元日の夕方、どこで、だれと何をしていたか、地震直後と、その後(1時間後や夜)、何をしたかなどを聞き合いました。その後、全体で共有をしました。
「最初は小さい地震で、そのあと大きい地震が起きて、死ぬと思いました」
「外から自分のアパートを見たら、たおれそうでこわかった」
など次々に当時のことを共有してもらい、学生たちも「そうそう、それで・・・」など当時を振り返っていました。
② 書く準備(構成確認、 文型・表現などの確認)
地震の時の状況だけでなく、その時の強い気持ちを伝えるために、どんな表現を使うことができるかを考えてもらいました。その際、「できる日本語中級」ではまだ未習文型であった「~ほど」も導入しました。
③ 書く作業
初稿(約45分)。フィードバックと清書(45分、清書の残りは宿題)
後日、みんなの体験記をまとめた「あの日、あの時」という冊子を作りました。
④ 読む活動&感想を伝える
気になるものから自由に読み、その後、印象に残っている部分など共有をしました。
一人がクスっと笑い出すと、そこから会話が始まったため、みんなで同じ人の体験を読みながら、当時の状況をさらに深く聞くスタイルに変えました。
振り返りや感想:
この活動は、地震直後ではなかったのですが、トラウマになっている学生に辛い時間にならないか心配でした。しかし、出来事や気持ちを共有し、共感しあうことで、学生の気持ちが落ち着いたり、客観的に当時のことを考えたりできていたので、良かったと思います。言語コミュニケーションの自然な姿を授業内で見ることができました。
皆さんの作文 『できる日本語中級』5課
作文「あの日 あの時 2024年1月1日の私たち」
/http://www.dekirunihongo.jp/wp-content/uploads/2024/08/作文「あの日-あの時-2024年1月1日の私達(専門学校ファースト学園金沢校).pdf