実践報告&現場の声

(現場の声-14)台中で「『できる日本語』体験ワークショップ」を実施しました!

台中昭和日本語教室 山田 朗一

 10月6日、台湾台中市の昭和日本語教室において「できる日本語体験ワークショップ」を行いました。台湾人14名、日本人11名の教師が参加し、実際に『できる日本語』を使った授業の一部を体験してみようというイベントです。台湾では昨年7月に『できる日本語』の台湾版『會!日本語』が出版され、メイン教材として採用する機関も徐々に増えてきています。ただ、やはり従来の教科書と違うために、「よさそうだけど、どうやって使ったらいいのかわからない」という声もよく聞かれるので、このワークショップを通じて多くの先生によさを知ってもらおうという気持ちで開催しました。

 当日はまず、参加者がグループに分かれての自己紹介からスタートしましたが、「初級レベルの語彙と表現だけで自己紹介しましょう」という制限がついていました。やってみると、なかなか難しかったようで、スタートから盛り上がりました。

 続いて、台北から駆けつけてくださった澤田尚美先生に「『できる日本語』の8つの特徴」を中心にお話しいただきました。参加者の中には、今回初めて『できる日本語』に触れるという方も多かったのですが、とてもわかりやすくお話しいただいたので、みなさん興味津々といった様子で聞いていらっしゃいました。ちなみに、澤田先生に台中で『できる』のお話をしていただくのは今回が2回目で、それ以外にも何度か台中に来ていただいているので、台中の日本語教師仲間とのつながりも生まれてきています。

 それから、昭和日本語教室の教師2名による授業実演を見ていただきました。参加者の中で『できる日本語』を使っていらっしゃる先生数名を学習者にみたてて、初級5課のST3を一通り見ていただきました。短い時間で『できる日本語』の魅力を伝えるのは難しいですが、みなさん真剣に聞いてくださっていました。

 その後、メインである参加者による『できる日本語』体験の時間になりました。本来はペアワーク(「チャレンジ!」体験)とグループワーク(グループで「やってみよう」を体験)の二本立てを企画していたのですが、残念ながら時間の関係で「チャレンジ!」のほうだけになってしまいました。
 ペアで教師役と学習者役に分かれて、ランダムに配られた「チャレンジ!」のイラストを使い、シラバスとスクリプトを参考にしながら授業体験をしてもらいました。そこまで澤田先生のお話を聞いて、デモ授業を見ていた参加者も、いざ自分がやってみると思ったように行かない様子で、相当苦戦していらっしゃいました。中には教師役の方が一方的にイラストの説明をしてしまい、気がつくと学習者役の方が「ハイ…、ハイ…」と聞いているだけで終わってしまったペアもありました。こちらも大変盛り上がり、とてもいい雰囲気で終わることができました。

 実はこのワークショップ、昭和日本語教室の台湾人教師王秀雯が企画し、準備を進めてきたものです。3年前まで受付職員だった王が『できる日本語』の授業に魅了され、休日に大学に通って学位を取得し、ついに日本語教師になったその情熱が実現させたイベントです。王が書いた挨拶文を見て、嶋田先生がみなさんと共有したいとおっしゃってくださったので、こちらでも紹介させていただきます。どうぞご覧ください。


ご挨拶

 先生方、はじめまして。本日司会進行を務めさせていただきます台中昭和日本語教室の王秀雯と申します。グールプワークに十分な時間を取れるように、自己紹介、日本語先生になった経緯や『できる日本語』のワークショップを開催した理由を紙面でお伝えすることにしました。ご覧ください。

 私は今、日本語教師をしています。日本語教師になったのは、『できる日本語』に大きく影響されたからです。3年前の私はこの教室の受付(事務員)でした。では、どうして日本語の先生になったかをお話します。
 こちらで働くようになってから、毎日、山田先生の『できる日本語』を使った授業を見ていると、学習者が自ら話したくなって、楽しそうに会話練習をしていることに感動しました。自分がかつて学習者だったころ、どうして山田先生の授業のような楽しい雰囲気を感じなかったかが初めてわかりました。それは、授業では聞く側だった学習者が、話す側になったからだと思います。

 『できる日本語』の会話場面の工夫には、今でも感心するばかりです。こんなに台湾人学習者にふさわしい教科書なんだから、これを使って教える先生がもっと必要だ。台湾で、もっと『できる日本語』を知ってもらうために、私もこの教室で『できる日本語』を使って教えたいと考えて山田先生に相談し、許可をもらいました。その後、大学の学位を取って、正式にこの教室で教師になりました。

 長い間、日本語を勉強したり、日本語を使って仕事をしてきた経験があるので、『できる日本語』が台湾人学習者にどんなにいいか、台湾で教えていらっしゃる先生方にも自信を持っておすすめしたいです。
 教師や教科書が変われば台湾での会話教育も変わると信じています。もっと多くの台湾の先生方に共感いただいて一緒に勉強したいと考えて、このワークショップを開催することにしました。

 また、幸運なことに台湾には『できる日本語』の著者の澤田尚美先生がお住まいです。今日はみなさんに直接澤田先生のお話を聞いていただきたいと思って、澤田先生にも来ていただきました。とてもいい機会ですから、みなさんぜひいろいろ先生にご質問ください。

台中昭和日本語教室 王秀雯


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